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臺南の風景にみる日本 梶原 宏之 氏

 

九州産業大学景観研究センター 景観セミナー/レクチャーシリーズ 2021年前期 第3回

テーマ:いま、台湾の風景にふれる

 

7月23日(金)18001930

臺南の風景にみる日本

梶原 宏之 氏

※ZOOMでの開催

 

【セミナー内容】

本日ご講演していただいた梶原宏之氏は、熊本県阿蘇市にて博物館学芸員を20年間勤められた後、4年前より台南応用科技大學助理教授として教鞭をとられている。セミナーでは、ご自宅周辺の風景について、日本統治時代の建物を中心にご講演いただいた。

日本統治時代の建物は、神社と郵便局以外はほぼ残されている。台南測候所は国定古蹟であり、日本人が最初に来てつくったものの一つである。日本ではあまり見かけない正十八角形の棟は、その見た目から胡椒菅と呼ばれていたそうで、当時の日本人が様々なデザインを試みていた様子がうかがえる。また、対面にはイギリス人が布教を目的に建設した太平境教会がみえる。台湾に上陸してはじめに、日本人は科学的データを集めようとしたのに対し、イギリス人は布教活動をしており、それぞれの目的が象徴的に存在した空間となり大変興味深い。

また、日本人は、人々が集う場所を比較的初期に作っている。台南公館は公民館であり、討論会や映画上映会などが開催されていた。柳下屋は、公民館で議論する人達が食事をする場所であったが、現在は「十八卯(うさぎ)」というカフェになっている。店名は、「柳」の漢字を分解してつけている。

食文化の捉え方については日本とは少し異なる部分があり、日本は食文化が文化財になっているものはないが、中華文化では非物質文化遺産が多いことが特徴であり、街の風景に溶け込んでいるとのことである。

その他にも多くの事例をご紹介いただいた。日本統治時代の文化をリノベーションしている様子はよくみかけるとのことで、日本統治時代を歴史のレイヤーとして受け止めている様子が街並みからうかがえる。

記録:大庭知子(九産大)