11/10(金)18:00-19:30 景観セミナー/レクチャーシリーズ2023,後期,第1回「作家の仕事と職人の仕事-陶芸産地における場の風景の継承から― 」,講師:濱田琢司さん 本日は、文化地理学者の濱田琢司さん(関西学院大学 文学部 教授)にご講演いただきました。学生時代から 民藝運動 に取り組まれてきた濱田さんは、 民藝運動 の創始者の 1 人である濱田庄司氏のお孫さんです。陶芸産地と民芸の関係をご研究されてきた濱田さんのお話は大変興味深く、幼少時代に御祖父様と暮らしたご実家の様子が分かる貴重な写真も公開していただきました。 そして、陶芸家 濱田庄司氏のルーツ(川崎市のご出身であり作陶のために益子に移住)の説明からは、実は、トラディショナルな風景や景観は、必ずしも産地代表者ではない者が作りだしたもので、それが伝統としてとらえられていたりする、というお言葉からも、新しさと伝統の関係性について考えさせられました。 今回、話の中心となったのは、「アーティストとアーティザン」であり、ジェイムズ・クリフォード氏が示す芸術文化システムを元に丁寧にご説明いただきました。 小鹿田と小石原の陶芸産地を例に説明していただいた、アーティストとアーティザン(商業的 / 作家的)の関わり合いについて、両者のもつれあいは、おもしろさであり重要であると考える、とおっしゃっていたのが印象的でした。様々な分野で議論される「アーティストとアーティザン」について、改めて考える機会となりました。 濱田先生、本日は、大変お忙しいスケジュールの中、当センター(九州産業大学)にお越しいただきありがとうございました! 景観研究センター 大庭知子
7 / 21 (金) 18 : 00-19 : 30 景観セミナー/レクチャーシリーズ 2023 ,第 3 回「近現代の社会・人間とランドスケープ〜「景観」という価値の出自とこれからをかんがえる〜 」,講師:中井祐さん まずヴィスタ - アイストップ ( 西 ) とヤマアテ ( 東 ) の異同からお話しが始まりました。その後、近代的な自我と美しい景観の成立へ進められた考究は、伝統共同体の解体と逆対応の、強い公共とバラバラな個人の相互依存へと展開されました。そのうえでこれからはバラバラな個人がいかに新たな関係性をつくるかという、いわばデモクラシーの更新ということに、うつくしい景観の生成の方向性があると説いてくださいました。まことに見事な論理展開と問題提起です。 いっぽう、その方向性の道筋は、何に基づいていくのでしょうか。自然でしょうか。新しい都市の形 ( フレーム ) でしょうか。中井先生は「愛」、とおっしゃいました!