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人と自然が織りなすー500万人都市サンフランシスコの風景とまちづくり 細垣 彩加 氏

 

九州産業大学景観研究センター 景観セミナー/レクチャーシリーズ 2021年後期 第2回

テーマPerspectives from Russia, US and UK in the midst of a global pandemic

 

1210日(金)18001930

人と自然が織りなすー500万人都市サンフランシスコの風景とまちづくり

細垣 彩加 氏

 

【セミナー内容】

本日ご講演していただいた細垣彩加氏(Office maランドスケープアーキテクト)は、京都大学で野生動物と鳥類の関係を研究された後、アメリカの大学でランドスケープデザインを学ばれた。サンフランシスコには8年ご在住である。セミナーでは、サンフランシスコの気候や歴史、市民参加型のまちづくりなどについてご講演いただいた。 

サンフランシスコは地中海性気候のため寒くても10℃程度で日本の3~5月頃の気候が続き、霧のまちとしても有名である。それほど大きなまちではなく、坂道とケーブルカーが特徴的なまちなみを形成している。シリコンバレーにはアップルなどのIT企業のオフィスが多数あり、多人種多様のまちである。パークレットなどのオープンスペースが多く、ベンチや植栽がまちなかに点在し、人々がストリートで楽しんでいる風景がみられる。 

一方で、道路渋滞や物価の高騰などが深刻である。渋滞対策としては、ウーバーや電動自転車、スクータなどのレンタル業が盛んである。住宅賃料の高騰(1ベッドルーム40万円弱)は深刻でキャンピングカー生活者もいるほどである。現在は、アフォーダブルハウジング計画が進められている。

セミナー後半では、サンフランシスコの歴史についてお話していただいた。移民の町からの発展であり、サンフランシスコへの名称変更以降はゴールドラッシュによる人口増加により、ケーブルカーやゴールデンゲートパーク、ゴールデンゲートブリッジの建設により街並みが形成されていった。太平洋戦争で造船場がつくられ、当時集まった技術が元となり現在のIT業に発展している。環境への意識も高く、CEQAなどの環境影響評価法やパブリックヒアリングによりプロジェクトを進めている。

まちづくりや環境問題に対する市民の意識が高く、市民の意見を行政が吸い上げ、スタンフォード大学や先進的な企業と協働で問題解決に取り組む仕組みが作られている。

世界的パンデミックによりサンフランシスコもロックダウンしたが、現在少しずつ活気が戻ってきている。 市がパブリックスペースを使える仕組みを整備している。

記録:大庭知子(九産大)