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流域治水とグリーンインフラ -多自然川づくりを超えて 佐藤辰郎氏

 

冒頭の自己紹介では、ふるさと宮崎県での子供時代のお話や、実際に起きた土砂災害での経験から得たグリーンインフラへの思いなどをお話いただきました。

中盤では、グリーンインフラの背景である、気候の変動について、「地球は人間により温暖化してきており、温暖化によって豪雨が増えていることが科学的に説明されている」ということ、そのことが人間社会(政治)にも影響し、人々の幸せが奪われてしまうことへの懸念などが、問題提起されました。

実際に佐藤氏がかかわった流域治水の事例として、神代川と球磨川のお話がありました。また、個人的に印象深かったのは、人工の川を自然にもどす方法である「近自然河川工法(Re Vitalization)」についてのお話でした。川の個性(河相)を頼りに、川に川をつくらせるということで(年月をかけ、人工的に整備された河川を可能な限り自然に近い、元の流域に近づけながら治水していく。)、その検証方法として、河川の模型を製作し、実際に水を流し、ハンマーで護岸を壊しながら水の流れなどを確認していく、という説明がありました。私としては解析ソフト等を主に使用し検討していくのだろうと思っていたので大変驚いたと同時に、人工的に整備しても流域の歴史を覚えていることに自然の力強さを感じました。

最後に、決して「グレーインフラ VS グリーンインフラではない」というメッセージが伝えられ、自然と人工のバランスの重要性が示唆されました。

 

文責:大庭知子