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共創の流域治水

 

景観セミナー / レクチャーシリーズ 2024 後期 #3

 テーマ:流域治水の文化

 12月6日(金) 18:00-19:30

 

景観セミナー後期の最終回では、島谷幸宏氏(熊本県立大学 地域共創拠点運営機構 機構長 特別教授)より「共創の流域治水」と題してご講演いただきました。

島谷先生は、国土交通省の治水論に対し、人の営みと一体となった流域全体の水のあり方を見直す視点の重要性を強調され、「ネイチャーベースのソリューション(自然の作用を利用した対策)」が不可欠であると述べられました。講演の核である「共創(CO-CREATION)」は、多様な主体が協力して新たな価値を生み出す運動論と定義され、産学官民に留まらない広範な概念が提唱されました。

具体的な実践として紹介されたのが、「くまもと雨庭パートナーシップ」です。これは、義務やノルマのない自発的な連携で、2030カ所の雨庭整備を目指すとのこと。熊本県や肥後銀行などが連携し、補助金や融資制度を通じて活動を支援する、多様な主体の共創が機能する好事例だと感じました。また、地域住民主体の「クマカメ」プロジェクトでは、安価なカメラとLINEを活用し、行政に頼らない「ボトムアップ型IOT」で避難行動を促している、というお話も大変興味深かったです。高校生の参加がキャリア意識向上に繋がった、という報告も印象的でした。

質疑応答では、活動拡大や信頼構築、プロジェクトにおける「美しさ」の追求など多角的な議論が展開されました。島谷先生は、社会関係資本の強化と地域の人々との地道な信頼関係づくりが、活動継続に最も重要だと強調され、「共創」を通じた持続可能な社会の実現を改めて示されました。


文責:大庭