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雨をゆっくり流すまちづくり

雨をゆっくり流すまちづくり   笹川みちる氏(NPO法人雨水市民の会 理事)

11/8(金)18:00-19:30 景観セミナー / レクチャーシリーズ 2024 後期 #2


本日は、笹川みちる氏(NPO法人雨水市民の会理事)に「雨をゆっくり流すまちづくり」というテーマで、ご講演いただきました。

墨田区は、広い範囲で海抜ゼロメートル地帯のためかつては水害常襲地帯であり、現在もそのリスクは残されています。降雨時に下水が河川に流れ込むCSO(合流式下水道越流水)問題も抱えており、40年ほど前から、雨水を貯める・蓄える取り組みをすすめています。例えば区役所の1,000㎥ 、両国国技館の1,000㎥  、スカイツリーの2,635㎥ をはじめ区内全域で801か所での総貯水量26,780㎥ を誇る雨水利用の先駆都市でもあります。

このような背景のなか、雨水市民の会では雨水貯留・活用に関して市民でできることを中心に取り組んでおり、雨水タンクの普及や、災害時のための路地尊の活用など、個人・コミュニティ規模の雨水貯留施設の普及・活用に尽力されてきたそうです。

そのほか、市民参加や参加型のワークショップを開催したり、市民と専門家の技術的な橋渡しにも一役買っています。現在は、米国コカ・コーラ財団からの助成もうけて、楽しく、魅力的かつ効果的に雨水貯留するプロジェクトに取り組まれています。

東京都では平成26年に、豪雨対策の目標降雨が75mm/hから85mm/hへと変更されましたが、これは増加分の10mm/hに流域での貯留や浸透対策で対応する必要があることを意味しています。まさに雨水市民の会で取り組んできた小規模雨水管理が着目される時代になってきたわけです。

最後に笹川さんの推進する未来の水ビジョンとして「水みんフラ」という提言をされました。私たちの暮らしを支える社会共通基盤システムを「みんなのインフラ」という意味で「みんフラ」と名付け、特に水をマネジメントする仕組み全体を「水みんフラ」と呼ぶそうです。この水インフラの概念はわかりやすいイラストにまとめられており、イラストを基に市民が自ら描く自らの未来への議論が弾んでいるようです。 

文責:景観研究センター 伊豫岡