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子どもを支えるまちづくり 縮退社会における「まち」と「デザイン」の可能性 田北雅裕氏

2025年7月4日(金)、九州産業大学23号館にて、景観研究センター主催による「景観セミナー」が開催されました。2025年 前期の景観セミナーでは、「縮退社会における空間と価値の再創造」を総合テーマとしており、前期の最終回は、田北雅裕氏(九州大学 准教授)をお招きし、「子どもを支えるまちづくり 縮退社会における「まち」と「デザイン」の可能性」と題してご講演いただきました。


 田北先生は、デザインは単なる造形や広告ではなく、「子ども・家族・地域を支える仕組みづくり」として捉え直し、福祉とまちづくりの橋渡しをされてきました。「まち」は「個人」・「家族」と「国」の間にある曖昧な中間領域として、人を孤立させず繋ぐ役割を持ち、その中で「ふさわしいデザイン」を生み出すことが社会を支えると、ご自身の様々な活動を例に交え、ご説明いただきました。


 中でも印象的だったのは、デザインは物理的に空間を作るだけでなく、風景から「意味を見出すこと」もデザインの一部であることを語られた、田北先生が高校生時代に過ごした橋の下の例です。このような公共空間の例は、家族関係にも置き換えることができ、物理的には変えられない家族関係も、関係性や意味付けの変化によって関係改善に繋がることを語られ、強い印象として残りました。


 今回のご講演によって、里親制度の再認識、デザインの持つ可能性について、改めて考える機会となりました。 


景観研究センター 古野